どちらかと言うとボクシングは苦手なので、脚本家・鈴木謙一氏の名前に惹かれつつも、観るか観ないか迷っていました。そんな、へっぴり腰で手にした本作でしたが、パンチの効いた一曲目に、「映画館行き」が即決定。苦手を克服してでも、「物語を知りたい!」と、心ざわめく楽曲の世界。彼らは“拳”に何を込めて“リング”に立ち、闘うのか。それを知りたくなる深みがあり、全曲を聴き終わった今、「絶対に、いい映画…」、そう予感する“熱さ”と…『BOXX!!』を筆頭に、「らしさ」が、鳴る、うねる、弾む、響く、鼓動が脈打つサウンドの波が纏う、「新しさ」と「進化」。全体的にはギターサウンドの魅力が強く出ている楽曲が多く、「澤野氏ならでは」と「新しい何か」に溢れ、全曲、カッコイイ!!です。男性ボーカル曲、女性ボーカル曲も収録されてますが、 RIZEファンや、ジャズ、ブルース好きな人にも聴きやすい絶妙なバランスではないでしょうか。 それと、毎回、感嘆するのですが、一枚で三枚分の濃さがあります。(素晴らしいサントラはたくさん在りますが、一枚が持つ密度で澤野氏に勝る作品には、滅多に出会えないと思うこの頃です) 相手をただ殴る拳ではない。 暴力なんかじゃない。大切な存在を守るために、鍛え打つ“拳”、誰かの痛みと涙のために、握りしめる“拳”、かけがえのない友のために、突き上げる“拳”、それを持つ人、 そして、立つべき“リング”が在る、すべての人に聴いて欲しい、届けたいと思う、熱くて、まっすぐな、名盤。真髄は、男性にしか解らないのかも知れないけど、形は違っても、“闘い”に挑む人たち皆への“エール”。それが鳴っている作品だと思います。(何より「BOXX」のスペルにそんなエールを感じました)リングに立つ時は一人でも、“拳”に、仲間との絆を握りしめている。それが、拳闘…ボクシングという世界の“美しさ”なのかも…と感じた、音楽世界。 絶対、ぜひ、聴いて欲しいです。By Logarithm