INCARNATIO

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角松の約2年ぶりのオリジナル・アルバムとしては通算16枚目にあたる『INCARNATIO』(インカナティオ)が完成しました。一昨年あたり......

角松の約2年ぶりのオリジナル・アルバムとしては通算16枚目にあたる『INCARNATIO』(インカナティオ)が完成しました。一昨年あたりから、彼が日本各地を旅をして得たさまざまな想い、サウンドが詰まった、これぞまさにJAPANESE POP MUSICと呼ぶにふさわしい素晴らしいアルバムに仕上がりました。昨年デビュー20周年を迎え、ますます活発に活動をする角松の最高傑作と言っても過言ではないほどの作品です。このアルバムのキーワードとして島根県出雲、沖縄、アイヌという3つの要素が挙げられます。沖縄の三線(サンシン)、アイヌの弦楽器トンコリ、沖縄&アイヌのコーラス、そしてそれを繋ぐことになった出雲。それらの要素をワールド・ミュージックとしてではなく、見事なまでに角松敏生のPOP SOUNDに融合させています。角松が初めて島根県出雲を訪れたのは2000年の11月。自身のドキュメンタリー映像「FLOW」の撮影のためでした。81年の6月にデビューして以来、移り変わりの激しい日本の音楽シーンの中で、常に新しい要素を取り入れ、最前線で活動してきた角松が、93年から98年まで、5年間の活動凍結期間を経て、活動再開を果たし、『TIME TUNNNEL』『存在の証明』と2枚のアルバムと企画アルバム2枚をリリースしながらも、「自分はいったい何をすればいいのだろう」「どこへたどり着けばいいのだろう」と常に自分の進む道を模索していました。また以前から海外での生活や海外の音楽文化に入りこめば入りこむほど、より日本人としてのアイデンティティを強く感じ始めていた彼が、自然の流れとして、次に向かったのが日本、そして日本民族でした。そのような流れで、彼がドキュメンタリー撮影の場として選んだ土地が出雲でした。偶然にもその映像作品の監督が出雲出身の錦織良成氏でした。後にその流れで、錦織監督は地元島根を舞台とする映画『白い船』の制作に着手し、その映画音楽を角松が手がけることになったのです。島根県、特に出雲では言葉に出来ないほど精神的なインスパイヤーを得た角松は、翌年2001年も「自分の感性で、何か感じれるところ」を巡る、日本人の精神性に触れる旅にでました。それが沖縄だったり、アイヌの人々との出会いだったりするのです。沖縄に関しては、以前から沖縄音楽に興味を持っていました。そして自身の趣味でもあるダイビングで訪れた宮古島で知り会った下地暁(シモジ サトル)氏との交流を深め、沖縄の歴史、文化、精神への理解を深め、99年リリースの『TIME TUNNEL』で共演を果たしています。その後下地氏との交流はずっと続いています。今回の旅では、下地氏の勧めで訪れた多良間島で見た重要無形文化財の「八月踊り」は今作の楽曲のモチーフとして、アルバムに収録されています。またアイヌに関しては、たまたま見たTVでのアイヌ特集や資料から得た情報で、そこにも日本の根っ子となる重要なファクターを感じた角松は、当然のこと訪れることになる。アイヌの精神、文化、そして差別の歴史などを知るのと並行して、アイヌの音楽とのアプローチも自然な流れとして発生し、そこで出会うのがトンコリ奏者のOKI(オキ)氏なのです。文献なども残っておらず(もともとアイヌは口伝文化ということもあり)、すでに失われた楽器として見られていたトンコリを蘇らせたのがOKI氏なのです。今回のキーワードとなる3か所以外にも、さまざまな土地を訪れた角松が、それらを繋ぎ合わせたのが、映画『白い船』のサントラでした。特に主題歌となった「Always Be With You」では三線、トンコリ、沖縄・アイヌのコーラス、出雲の神楽太鼓などを見事に角松サウンドに溶け込ませることに成功しました。それは単純に音楽に興味を持って、それだけを取りこもうとしたのではなく、その内面にある文化や精神性をできる限り理解をして、相手にも出きる限り角松という人間を理解してもらった結果なのです。レコーデイングではいつもの角松バンドのメンバー、名うてのミュージシャンはもちろんのこと、新潟・佐渡の和太鼓集団「鼓童」の中心メンバーだった内藤哲郎氏のさまざまな種類の太鼓の響きや、尺八・篠笛の名手、佐藤英史氏の篠笛が心に響いてきます。アルバムのMIXにはマドンナ、宇多田ヒカルなどを手がけるGOH HOTODA氏のほかに、スーパーカー、電気グルーヴ、THEATRE BROOK、orange pekoeなどを手がける松本靖雄氏、角松が絶大な信頼を寄せる内沼映二氏が手がけ、E..クラプトン、グリーンデイ等を手がける全米No.1エンジニア、テッド・ジャンセンがマスタリングに参加しています。