パストラル

パストラル

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アルバムタイトルは収録曲の中で一番ムードのある曲名を取ったもの。村治佳織のイメージにもよく合っていて、ファンにアピールす......

アルバムタイトルは収録曲の中で一番ムードのある曲名を取ったもの。村治佳織のイメージにもよく合っていて、ファンにアピールすること請け合いだ。しかし、もっと説明的につけるなら「カオリプレイズロドリーゴ」になるだろう。なぜなら、村治佳織がここで弾いているのはすべてロドリーゴの作曲した曲だからだ。 また、演奏の質に言及するなら、いささか無粋ではあるが「ヤングアンドワイルド」あたりか。村治佳織の元気にハジケた面が出たアルバムだからだ。メリハリがきいた演奏ということで一番にあげたいのは、「小麦畑で」。金属的で冷たい音色とソフトであたたかい音色の対比が印象的で、しかもそれらの交代がなんとも自然におこなわれる。うたごころも十分だ。「祈りと踊り」での躍動感、とくにダイナミクスの変化の大きさにも魅了される。「三つのスペイン風小品」では少し力みすぎた感があるが、それもまた健康的な覇気の表れときこえてすがすがしい。もちろん、ただがむしゃらに弾いているというわけではない。「ヘネラリーフェのほとり」「古風なティエント」でのトレモロやアルペジオなどの繊細なテクニックは、手の込んだデザートや金銀細工にも似た見事な仕事ぶり。最後に置かれた表題曲では、それまでの興奮をさますような静かな演奏をきかせる。