そのパワフルで表現力豊かなヴォーカルは、昨今のR&B歌姫の元祖と言ってもいいだろう。そんな実力派ベテラン・シンガーの30周年記念盤は、自らの70年代の作品を意識したかのようなシティ・ポップ・アルバムに仕上がっている。「クリスタル・シティ」ほか数々の名曲を生み出した伝説の美乃家セントラル・ステイション時代の仲間・土屋昌巳との実に28年ぶりのコラボレイションとなったファンク・チューン「ミネラル・ウーマン(特に鉄分)」から、中西圭三とのデュエットによるフリー・ソウル・チューン「あの頃のように」まで、楽曲・アレンジ・演奏・歌というすべての要素に大人の円熟を感じさせるプロダクションの妙に、思わず唸らされる。佳作。